2006年 08月 26日 ( 1 )

講義 :堤 寛教授 (病理医が取り組む院内感染)

  講義08/26と資料を基にしたインタビュー風レポートです。

生命の最終診断、病理医として】 堤 寛教授 藤田保健衛生大学第一病理学教室   

『電話注文した品が 「料理学教室』 宛で届いたことも …」 慶應義塾大学ご出身で
30年間、日本の病理の歴史と共に歩んできた堤寛さんは、病理医の存在が知られて
いないエピソードを語る。
医療の最終目的である治療を適切に行うために、細胞や組織を顕微鏡で視て最終
診断を下すという重要な役割を担う病理医。実は平成元年に、病理診断がようやく
「医行為」 として正式に認知された。陰には堤さんの訴えがあったからだという。
しかし一昨年、標榜科 (院外への広告を許される診療科名) 見直しで 「病理科」 は
切り捨てられた。診察をしないからだそうだ。検査の一部と見なされることもあり、若い
医師不足に拍車をかけていると堤さんは早期実現を願う。
 
臨床医の黒子的な地道な業務との見方は一面に過ぎないように窺える。わが国の
鎌倉期に書かれた「病草紙」など故事に通じ、医療と環境をテーマに活動する。
1993年から94年にかけてケニアのナイロビの街に3ヶ月間滞在した。JICA (国際
協力事業団) の短期専門家派遣として、ビルハルツ住血吸虫対策と細胞診の技術
指導が目的だった。
肺炎、下痢と並ぶケニア国民の三大死因の一つマラリアは蚊が媒介する。ボウフラが
わく泥水が生活水の全て、炎天下の井戸掘り賃金が一日中でも100円ほど。トイレも
机もない学校、『安全な水さえあれば ・・ 必要なのは医者ではなく、安全な水の供給』
とアジア地域にまして深刻な実態を指摘する。 日本政府の援助施策と現地のギャップ
に、何が必要か、医療とは?幸せとは?  問い続けたという。
 
眼を内に転じれば、病院における新しい感染症対策の課題がある。
ユニバーサルプレコーションと呼ばれる 「すべての患者体液・排泄物を、感染の可能性
があるものとみなして取り扱う」 原則に則り、手洗い、トイレ設備、医師等の腕時計に
到るまで患者さんのために万全の配慮がなされる。
堤さんは説明に意見をはさみながら、インフルエンザの予防接種が全国的に医学部で
低いことを嘆く。また白衣は予防衣であるから、記者会見に臨むときは上着姿でと苦言
を呈した。
 
最後に「患者の目線で見ることを学生に伝えたい、国際的視野を持つ人材を育てたい」
とメディアやコミュニケーションの力に大きな期待を寄せた。

  藤田保健衛生大学第一病理学教室 HP   連載:病理医の眼( ESSAY)  
  JICAケニア感染症対策プロジェクトに参加して (ESSAY)   
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by lumiere6 | 2006-08-26 23:35 | ***-e***t****