人気ブログランキング | 話題のタグを見る

北海道大学サスティナビリティ・ウィーク  第1日目

公開シンポジウム 自然再生と地域再生 - 自然の順応的管理と社会 -
10/20(土)13:00 ~ 16:50  北大 人文・社会科学総合教育研究棟W203 
主催:北大大学院文学研究科・特色ある研究プロジェクト「環境と構成の応用人文学」
共催:北大サスティナビリティ・ガバナンス・プロジェクト
【資料】 講演者の業績、主な著書・論文、PPT など両面、全22頁

PPTやご発言の一部をご紹介させて頂きます。カラーフォントはメモです.
【講演】
コウノトリから見えてくる地域の保全」
池田啓氏(兵庫県立大学自然・環境科学研究所教授 / コウノトリの郷公園研究部長)
この50年で保護にかかった総経費66億は、コウノトリがトンネルとなり、地元へ
還元された。環境のために使われ子供たちにとっても地域の誇りとなっている.


科学知への懐疑  (図から文言を拾ったもので不完全です)
 自然や生物を相手にする行為には順応的管理
  順応的管理           実験
     計画  ―→ 設計 ―→ 施工 → モニタリング
       コンセンサス   コンセンサス 
      科学的認識    科学的仮説     新しい工法や技術  
 
・住民はコンセンサスを得る対象としてしか存在しないのか ?
・現場知、経験知をどう内部化するのか ?
・生活の場が科学の実験場となってやしないか ?
縦割り行政を例示 : 紙を放射状に5等分して切り、元に戻すとき1箇所ずれると
全部隙間ができる。学問の領域をうまくつなぐ、総合的にものを考えることが大事.
永続的な課題として、長い時間で取り組む、To be continued が必要ではないか.


【報告】
「不確実な科学,不確実な未来と地域環境・・予防原則・順応管理のインパクト・・」
佐藤哲教授 (長野大学環境ツーリズム学部 / 生態学、地域環境学)

科学者(研究者)とステークホルダーの相互作用を基盤にした意思決定プロセスの規範化へ
・劇的に変化する生態系を管理・再生するためには ~略~
・合意性、科学的合理性を担保するために ~略~
・科学者と地域のステークホルダーの協働システム
モニタリングによる現状把握と学習プロセスの継続、在野知と科学知の融合による
迅速な現状把握と将来予測、科学者とステークホルダーの相互作用による意思決定の
納得性 → 地域社会に実装された柔軟な意思決定システム


「これからの自然環境管理の思想」 鬼頭秀一教授
(東京大学新領域創成科学研究科 環境学系 / 環境倫理学、科学技術社会論)
科学技術の根源的不確実性を補うさまざまな方法
・順応的管理 adaptive management による技術的・政策的対応
・リスクマネジメント risk management による技術的・政策的対応
・予防原則 precautionary principle による政策的対応
・local knowledge(生活知)の復権と政策的・社会的対応 

持続可能性の四つのレベル  (改行改変)
     経済・政治レベル(経済環境)- 循環型経済
   人間の関係レベル(社会環境)- 共同性の構築 ↑
  人間の自然の精神的関係レベル(精神環境) - 自然との精神文化の構築
物質・生物レベル(自然環境)- 狭い意味での自然の再生

「アダプティブ・ガバナンスと市民調査」
宮内泰介准教授 (北海道大学大学院研究科 / 環境社会学)
原文のまま、配列や組み合わせを改変
◆アダプティブ・マネジメント・・対象である自然についてアダプティブに管理していく
アダプティブ・ガバナンス・・自然とアダプティブにかかわっていく人間の側の仕組みを
アダプティブに変えていく.→ 決まった人たちだけでなく、いろいろな人たちが試行錯誤
しながら、しくみを作ったり、作り直したりしながら管理していく. 市民・住民による調査
(市民調査) が鍵を握る.

◆職業的研究者 ・・ 学会への「貢献」を志向.「客観的」な調査を志向
市民・住民による調査・・具体的な問題発見・問題解決が目的.自分たち自身の状況を
知り、何が望ましいのか、何をすべきかを考えるために行われる.
◆人文・社会科学的な調査の必要
対象(自然)の調査だけでなく、どうかかわってきたか、その背景には何があったか、
という人間・社会についての調査

「阿賀野川 人と暮らしと移ろぐ自然」 関礼子 准教授(立教大学社会学部)
阿賀野川中流集落における川と人との関係性 (要素を集約)
稼ぐ:治める(川仕事) 稼ぐ:運ぶ・採る(川砂利採取)
食べる(捕る、耕す)釣り?
飲む、拾う、洗う(牛の水浴)、遊ぶ、送る(祖先に)、清める

【パネル・ディスカッション memo】  司会 :関礼子 准教授



・絶滅したものを復活してみんなが元気になるなら、コウノトリをアイコンとして使えば
 いいのでは.
・地域固有の問題への対策が求められている。(国際捕鯨の例)
・釧路川では、だ行と地域再生が結びついていない。環境基本計画にはアダプティブ・
 ガバナンスを組み込んでやって行かねば。だ行で溢れるのに、ネガティブなことを
 受ける人のいない国土交通省で論議され、アダプティブ・ガバナンス管理ができていない.
 賛成・反対とは別の形があるのでは。

・大学の先生方が並んでいると、すごいことをやっていると幻想を持たれる.
 市民の側からも大学の研究に問いかけをして頂きたい。北大には多くの人材と予算
 (税金) が投入されている。市民にインターフェースするようにNPOなど機関ができて、
 どういう解決が得られるか、答えはすぐに出ないが何が行われているかチェックし、
 解決策を考えていく仕組みを作って行ければ.

・学問を独立したものと考えず、ご提言いただき一緒に考えて行きたい.
・各地域にNPOの人たちがいる。そこを核に相互に関係を作って行くこと。
・科学者の意識も変わらねば。情報をどう流すか、どう作るのかに入っていかねば.
 (堤防をミリ単位で衛星探知して情報を流すことを例に、ご意見)
・ローカル知の問いかけの裏側には、科学とは何かと考えることがある.
・専門家がそこに住み、その地域にいて日常的に地元の生活実感に関わって研究する.
 地域の未来に関わっていくこと。そういう研究者の集団が日本に出来ている.

・研究者がどういう立ち位置にいるか、科学者自体もステークホルダー. 
 中立的としていながら実際は権力的に働いている.そこから打破するには、順応的に
 自分の位置を定めながらやっていくこと。新たな専門知が必要.
・東京に知が集結しているのに良くならない. 地震の恐れがあるのに文科省の後ろに
 高層ビル、いかに科学が信頼されていないか.

・順応的な自治と管理は車の両輪でなければ。専門化が潤滑油としていかねば.
・研究者の役割を固定しないほうが (良い). モデルを柔軟に考えたらどうか. 場面ごとに
 流れに乗る、そういう柔軟な仕組みを許すしくみを、私たちは考えたほうが良い。
・人間の専門性、あなたは市民、専門家と色分けはできないと思う. 一人一人の果たす
 役割は多面的
・今までの計画のような打ち上げ花火のようにならず、線香花火を保たせ、見守り続ける、
 みんなが変われる仕組みを. レジティマシーの問題だが、アダプティブ・ガバナンスは
 人口問題に対応できるのか. 自然は公平にまっとうに分配されるべき.
 (legitimacy 正統性/正当性)
by lumiere6 | 2007-10-21 23:59 | 北大 SGP関連
<< 小さな薔薇 名寄の 「はくちょうもち」 と... >>