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垣根のなかは ...

都忘れが咲いています。濃い紫はすっくと伸び、薄い藤色は仲間を増やし、垣根のなかは ..._c0087710_15122230.jpg
淡いピンクの細い茎が風に揺れています。

  
  山たかみ つねに嵐のふくさとは
     にほひもあへず  花ぞ散りける -古今集-

  名にし負わば いざ言問はむ都鳥
     吾が思う人はありやなしやと  -業平-

 Introduction et Rondo capriccioso
en la mineur Charles Camille Saint-Saëns

 D.G.Rossetti; Song Ⅸ‘honeysuckle’ ↓

垣根のなかは ..._c0087710_21582110.jpg I plucked a honeysuckle where/ The
hedge on high is quick with thorn,
And climbing for the prize, was torn,
And fouled my feet in quag-water;
And by the thorns and by the wind
The blossom that I took was thinn'd
And yet I found it sweet and fair
 サンザシの生垣が
   高く勢いよく茂っているところで 
 わたしはスイカズラを摘みとった
 それを手に入れようとよじのぼり
 切傷は受けるし足は泥水によごれた
 それにとげと風
 わたしの取った花は色香があせた
 それでもわたしには香ぐわしく美しかった
  - D. G. ロセッティ ‘すいかずら’ *
 
垣根のなかは ..._c0087710_14521717.jpg  わたしたちの心は風
  この移ろい易い風の心が
  誠実と呼ぶものも、
  繰り返される円舞踏
  今日心が考えているものも、
  明日には影
  過去はもうなにものでもなく、
  未来は雲
  いま手につかんでいながら、
  逃れゆくのを感じる
 
    エチエンヌ・デュラン
    『移り気の女神へのスタンス』
    「ヨーロッパ文学 花の詩史」 
    山中哲夫 大修館書店 P146

  垣根のなかは、瑞々しい植物が
  生命と美を競うところ、萎れた花が風と一緒に眺めている。


*訳 : 村上至孝、星谷剛一 『英語歳時記』 研究社  注:写真は全て筆者
by lumiere6 | 2007-06-16 15:05 | 文学、芸術 …
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