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持続と反復     -修正あり-

環境科学分野で掲げられる 「持続可能な…」 という言葉は、自然科学と社会科学を
統合する、新世紀の学問分野として必要な[Sustainability Science ]の要です。
関連した言葉との関係をふと考えました。ものごとの「循環」は、「持続」に含まれると
思われます。AとB、交互に繰り返されていくと持続し、性状が変化しないで保たれる
ことも持続のうち? では反復は? じっくり整理しないと堂々巡りに陥りそうです。

先日お伝えした廃棄物がテーマの書籍に 『新・廃棄物学入門』 田中勝著(2005)の
面白い図が紹介されていました。「廃棄物発生曲線」 というもので、ごみ発生の
メカニズムを説明しています。

北大大学院工学研究科 環境循環システム専攻 循環資源評価学(タクマ)講座
その図のY軸は〔価値〕、X軸は〔時間〕です。高い価値で始まった〔市場価値曲線〕と
〔個人評価価値曲線〕が、時間が立つにつれ下降しながら交差し、位置が逆転します。
対象への評価が変化して、不要となっていく過程が、どうも恋愛や結婚を示している
ようにも見えるのです。例えば図に吹き出しがつき、 『その商品が飽きてきたりして
個人評価がどんどん下がる…』 など、ポイントごとに成程の説明がされています。
                                『ロマンティック廃棄物』 26頁

参考に 岡山大学環境影響評価学研究室 若手の声に寄せて 博士後期課程 吉澤 佐江子
*ISIC:International Standard Industrial Classification of all Economic
Activities(国際標準産業分類)
日本標準産業分類 (現行、 2007改定案)、国際標準産業分類及び北米産業分類
システムの分類項目比較表 http://www.stat.go.jp/index/seido/pdf/san5.pdf

棄てるという行為は消極的な破壊であり、獲得する場合とは異なる解放感・満足感が
潜むような気がします。別なおりに、棄てる心理を分析してみたいです。   
図から、かの有名な 「反復」、セーレン・キェルケゴール(1813-55)を思い出します。
              ↓
〔日々の反復〕  訳者不明 途中略    (二十才の時の読書ノートより)
追憶の恋のみが幸福だとある作家は言った。… 実を言えば、反復の恋だけが幸福
なのである。… 期待の不安がない。探検に伴う不安な冒険もない。しかしまた追憶の
持つ哀愁もない。そこには瞬間の祝福された確実さがある。

期待は糊でこわばった、しかもきらびやかな新調の衣服である。しかしそれらはまだ
着てみたわけではないから、果たして体にぴったり合うかどうか、また良く似合うか
どうかもわからない。

追憶は脱ぎ捨てられた衣裳である。それはどんなに美しくても、いまではもう小さく
なってどうにも体に合わない。 … 期待は手をすり抜けていく可愛い乙女である。
追憶は、いまはもう役に立たぬ美しい老婦人である。反復はいつまでも飽くことのない
愛妻である。飽きがくるのは、ただ新しいものだけである。

… しかも反復が何か新しいものでなければならぬかのように思い違いしない人だけが
本当に幸福になる。 … 期待をするには若さがいる。追憶をするには若さがいる。
しかし反復を欲するには、勇気がいる。期待をのみ欲するものは卑怯である。
追憶をのみ欲するものは安逸である。しかし反復を欲するものは男である。 …
 

上滑りに活字を追うより、もっと見つめるべきことが多かったはずだったけれど
時はもどらない。 amertume …
by lumiere6 | 2006-12-26 23:56 | 書籍
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